Claude 5 世代 — Fable・Opus・Sonnet の新ラインナップ
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Claude 5 世代の全体像 (The Claude 5 Generation)
2026 年は Claude にとって「世代交代の年」でした。6 月から 9 月までのわずか 4 か月で、主力モデルがほぼ入れ替わっています。
| 時期 (2026 年) | できごと |
|---|---|
| 6 月 9 日 | Fable 5 / Mythos 5 登場。Opus の さらに上 の最上位ティアが誕生 |
| 6 月 30 日 | Sonnet 5 登場。claude.ai の無料・Pro プランと Claude Code の既定モデルに |
| 7 月 24 日 | Opus 5 登場。「Fable 5 に近い賢さを半額で」 |
| 9 月 1 日 | Fable 5.1 / Mythos 5.1 登場。性能アップ + 誤った拒否が大幅に減少 |
| 9 月 22 日 | Opus 5.5 登場。Opus 5 より 安くて速い |
🚃 たとえるなら「電車の種別」 - Haiku = 各駅停車。どこにでも停まる、安くて身近 - Sonnet = 快速。普段の通勤はこれで十分 - Opus = 特急。遠出や大事な用事に - Fable = 新幹線。遠く (最難関の問題) まで一気に行けるが、特急料金も高い - Mythos = 同じ新幹線の車両だけど、許可を得た人だけが乗れる専用便
💡 ch1-l2 で学んだ Opus / Sonnet / Haiku は 詩 のスタイルから取られた名前でした。 新ティアの Fable (寓話) と Mythos (神話) は「物語」の形式。詩から物語へ——スケールの拡大を感じさせる命名です。
Fable とは何か — 「Opus より上」の最上位ティア
Claude Fable は、一般に提供されているモデルの中で最も賢い Claude です。最新版は Fable 5.1 (9 月 1 日)。
- モデル ID:
claude-fable-5-1(前の版claude-fable-5も引き続き利用可能) - コンテキストウィンドウ: 100 万トークン / 最大出力: 128K トークン
- 料金: 入力 $10 / 出力 $50 (100 万トークンあたり) — Opus 5 ($5/$25) の 2 倍
- 得意分野: 最高難度の推論 と、数分〜数時間続く 長時間の自律作業
Fable 5 → 5.1 で何が変わった?
| 変化 | 中身 | たとえると |
|---|---|---|
| 賢さ | 低い effort でも Fable 5 と同等以上、高い effort ではさらに向上 | 同じ燃料でより遠くまで走れる |
| 誤った拒否の減少 | サイバー関連の誤検知 約 60% 減、バイオ関連 約 85% 減 | 空港の保安検査が「普通の荷物」で止めなくなった |
| 実質値下げ | 単価は同じだが、キャッシュ読み取りが 1/4 に。一般的な使い方で 約 25% 安く | 定期券の割引が大きくなった |
| セキュリティ用途 | 脆弱性の 発見 には使えるように (攻撃コードの作成は不可) | 「どこに穴があるか」は教えてくれるが「こじ開け方」は教えない |
使いどころ
🎯 Fable は「Opus でも足りない最難関」のための切り札 です。 料金は Opus の 2 倍、1 回の返事に数分〜十数分かかることもあります。「最新だから」と常用せず、待つ価値がある仕事 に投入しましょう。 claude.ai では Pro 以上のプランで、使用量クレジット (従量課金) を使って 利用する形です。
Mythos とは何か — Fable との違い
Claude Mythos 5.1 (claude-mythos-5-1) は、Fable 5.1 と同一のモデル です。
知能・料金・API の仕様は同じ。違うのは 安全対策の強さ と 使える人の範囲 です。
| Claude Fable 5.1 | Claude Mythos 5.1 | |
|---|---|---|
| 使える人 | 誰でも (通常の API / claude.ai) | 審査を通った組織だけ |
| 安全対策 | 危険になりうる領域には 強めの安全装置 | 利用目的に合わせて調整された安全装置 |
| 提供経路 | 通常の Claude API | Project Glasswing や、サイバー / ライフサイエンスの検証プログラム経由 |
キーワードは「デュアルユース (dual-use)」
デュアルユース とは、良いことにも悪いことにも使える 知識・技術のことです。
🔪 包丁 は料理にも使えるけれど、危険な使い方もできる。だからお店では普通に売っているけれど、刃渡りの長い刀は許可制 ですよね。 高度な 生物学 や サイバーセキュリティ の知識は、まさにこの「刀」にあたります。
- Fable: 安全装置 (分類器) がリクエストを見張り、危ない領域と判定すると 拒否 (refusal) します。5.1 で誤判定はかなり減りましたが、ゼロではありません。
- Mythos: セキュリティ研究やライフサイエンスなど、正当な目的で深い能力が必要な、審査済みの組織 向け。
📰 実際に起きたこと (2026 年 6〜7 月): Fable 5 の公開直後、安全装置をすり抜ける手法が見つかり、米国政府の輸出管理の対象になったため Anthropic は Fable 5 の提供を一時全面停止 しました。約 3 週間後、すり抜けを 99% 以上防ぐ新しい安全装置を入れて 7 月 1 日に再開 しています。 「能力が高いモデルほど、安全装置と提供の仕方が重要になる」ことを示した出来事です (ch1-l4 の AI Safety の実例)。
Opus 5 / Opus 5.5 — 「半額の Fable」を目指す主力
| Opus 5 (7/24) | Opus 5.5 (9/22) | |
|---|---|---|
| ID | claude-opus-5 |
claude-opus-5-5 |
| 料金 | $5 / $25 | $4 / $20 (2 割安い) |
| 位置づけ | 「Fable 5 に近い賢さを半額で」 | 「Fable 5.1 並みの性能」と公式発表。出力も約 30% 速い |
| 考える (thinking) | 既定でオン | 常にオン (オフにできない) |
| effort の既定 | high |
medium (1 段低い) |
- Opus 5.5 は新しいのに安い。これは珍しいことではなく、AI の世界では「新型ほど効率が良くて安い」がよくあります。スマホの新機種が「前より電池が持って値段は据え置き」なのと似ています。
- Claude Code では Opus 5.5 が既定の Opus になりました。
Sonnet 5 — 普段使いの本命
- ID:
claude-sonnet-5/ 料金: $2 / $10 - 性能は 前世代の最上位 Opus 4.8 とほぼ同等 と発表。それが Opus 4.8 の 4 割の値段 で使えます
- 当初は「期間限定の導入価格で、9 月から $3/$15 に値上げ予定」でしたが、8 月に値上げが中止 され $2/$10 が正式価格になりました
- claude.ai の 無料・Pro プランの既定モデル、Claude Code の既定モデルにもなっています
🍱 ch1-l2 の「定食屋の日替わり」が、値段そのままでおかずが一品増えた ような状態です。迷ったら Sonnet、は今も変わりません。
Haiku 4.5 — 速度とコストの最終兵器 (据え置き)
- この期間に Haiku の新版は出ていません。Haiku 4.5 ($1/$5) が現役
- 分類・抽出・要約の大量バッチ、チャットボットの最前段、「簡単か難しいかの振り分け役」に最適
- コンテキストは 200K (他は 1M) と控えめな点だけ注意
- 🗓️ 公式の廃止予定表では「2026 年 10 月 15 日より前には退役しない」という表記になっています。本番で Haiku 4.5 を使っている人は、後継の発表をチェックしておきましょう
モデル別の特徴 — どれが何向きか
| 観点 | Fable 5.1 | Opus 5.5 | Opus 5 | Sonnet 5 | Haiku 4.5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 難問の深い推論 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 長時間の自律エージェント | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| 日常コーディングのコスパ | △ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
| 応答速度 | △ (数分単位も) | ○ | ○ | ○ | ◎ |
| コスト効率 | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
💡 「セキュリティ向きのモデルはどれ?」 — 脆弱性のコードレビューやセキュアコーディング支援といった 日常のセキュリティ実務 は Opus / Sonnet で十分。研究レベルのデュアルユース領域 は、審査を経て Mythos を使うのが正規ルートです。
API から見た Claude 5 世代 — 4.x 世代との違い
第 3〜4 章の予習を兼ねて、開発者向けの代表的な違いを押さえておきましょう。
1. 「考える」がほぼ常時オン、ツマミは effort
# Fable 5.1 / Opus 5.5 では thinking パラメータを書かない (常時オン)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
output_config={"effort": "high"}, # 思考の深さは effort で調整
messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
)
thinking={"type": "disabled"}やbudget_tokensは 400 エラー (Fable 5.1 / Opus 5.5)- 深さは effort (
low/medium/high/xhigh/max) で制御 (→ ch4-l8) - 生の思考は返らない。
display: "summarized"で 要約 が読める
2. 安全装置の「拒否」と自動の乗り換え (fallbacks)
危険領域と判定されたリクエストは、HTTP 200 のまま stop_reason: "refusal" で止まります。
正当な作業でも稀に誤判定されるため、拒否されたら自動で別のモデル (Opus など) に乗り換える fallbacks パラメータ (ベータ) を併用するのが推奨パターンです。
🚑 たとえるなら「代打」 — 先発の Fable が「この打席は立てません」と言ったら、ベンチの Opus が自動で代わりに打席に立つ仕組みです。
3. その他の主な違い
| 項目 | Claude 5 世代の仕様 |
|---|---|
| temperature / top_p / top_k | 廃止 (指定すると 400。Opus 4.7 以降と同じ流れ) |
| Assistant プリフィル (回答の書き出しを指定する技) | 不可 → 構造化出力 output_config.format を使う |
ツールの強制指定 (tool_choice: any / tool) |
Fable 5.1 / Opus 5.5 では 不可 → auto + 指示で誘導 |
| データ保持 (Fable) | 30 日間の保持が必須 (ゼロデータ保持の組織では原則利用不可) |
| 応答時間 | 難タスクでは 1 リクエスト数分〜十数分 もある (ストリーミング前提の設計を) |
| プロンプトの流儀 | 手順を細かく指示するより、ゴールと制約を渡して任せる 方が高品質 |
⚠️ 「細かすぎる指示は逆効果」になりつつあります。旧世代向けに「まず〜して、次に〜して…」と細かく書き込んだプロンプトは、最新モデルではかえって品質が下がることがあります。 新人には手順書が必要でも、ベテランには「ゴールと守ってほしいこと」だけ伝えた方が良い仕事をする のと同じです。
現行ラインナップまとめ (2026 年 9 月時点)
| モデル | ID | 位置づけ | 入力 / 出力 ($ per 1M tok) |
|---|---|---|---|
| Claude Fable 5.1 | claude-fable-5-1 |
一般提供の最高知能 | $10 / $50 |
| Claude Mythos 5.1 | claude-mythos-5-1 |
Fable 5.1 と同一モデル・審査済み組織限定 | $10 / $50 |
| Claude Opus 5.5 | claude-opus-5-5 |
Opus の最新。安くて速い | $4 / $20 |
| Claude Opus 5 | claude-opus-5 |
高性能の主力 | $5 / $25 |
| Claude Sonnet 5 | claude-sonnet-5 |
バランス型の本命・既定モデル | $2 / $10 |
| Claude Haiku 4.5 | claude-haiku-4-5 |
最速・最安 | $1 / $5 |
⚠️ 料金・提供状況は変動します。最新情報は必ず公式ドキュメント https://platform.claude.com/docs で確認してください。 旧モデルは順次退役しています (Opus 4 / Sonnet 4 は 6 月、Opus 4.1 は 8 月に退役済み)。古いモデル ID を使っているコードは移行計画を。
まとめ
- 2026 年 6〜9 月で主力が総入れ替え: Fable 5.1 / Opus 5.5 / Opus 5 / Sonnet 5、Haiku は 4.5 のまま
- Fable は Opus の上の最上位ティア。Mythos は同じモデルを審査済み組織に提供する版。違いは 能力ではなく安全対策と提供範囲
- Opus 5.5 は新しいのに安い ($4/$20)。Sonnet 5 は Opus 4.8 級を $2/$10 で
- API では 思考ほぼ常時オン + effort で調整・refusal と fallbacks・プリフィルと temperature の廃止 が新しい常識
- 鉄則は変わらない: 普段は Sonnet、ここぞは Opus、最難関だけ Fable、大量の雑用は Haiku
あなたは AI ガバナンスの解説者です。「同一の AI モデルを、一般向けには強めの安全装置付きで提供し、審査済みの組織には用途に合わせた安全装置で提供する」という出し分け戦略について、(1) この方式の利点を 3 つ、(2) 運用上の難しさを 2 つ、身近なたとえ話を 1 つ交えながら、初心者にも分かる言葉で説明してください。演習: モデル選定コンサルになる
Playground で Claude を「モデル選定コンサルタント」にして、6 つのシナリオに最適なモデルを提案させてください。
観察ポイント: - 「とりあえず最強の Fable」に流れず、コストと難易度のバランスで選べているか - Mythos を一般企業に提案していないか (審査済み組織限定であることを踏まえているか) - 「新しい Opus 5.5 の方が Opus 5 より安い」ことを活かせているか - 自分ならどう選ぶかと比べて、判断基準の違いを言語化してみましょう
まとめ
お疲れ様でした!