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第1章 · Claude入門

Claude 5 世代 — Fable 5 と Mythos 5

The Claude 5 Generation: Fable 5 & Mythos 5 · 約 15 分

重要キーワード

English日本語説明
Mythos-class Mythos クラス Opus の上位に新設された最上位モデルティア。Fable 5 / Mythos 5 が属する
Dual-use デュアルユース 有益にも有害にも使える能力・技術のこと。高度な生物学やサイバーセキュリティの知識が典型例
Project Glasswing プロジェクト・グラスウィング 審査を通過した組織に Claude Mythos 5 を提供する Anthropic のプログラム
Refusal 拒否応答 安全クラシファイアがリクエストを拒否したことを示す stop_reason。HTTP 200 のまま返る
Effort エフォート 思考の深さとトークン消費を low〜max の 5 段階で制御する output_config のパラメータ

Claude 5 世代の幕開け (The Claude 5 Generation)

2026 年、Anthropic は Claude 5 ファミリー の最初のモデルとして Claude Fable 5 を発表しました。 同時に発表された Claude Mythos 5 とあわせて、従来の Opus / Sonnet / Haiku という 3 段構成の さらに上 に位置する新しい最上位ティア「Mythos クラス」が誕生しています。

世代 主なラインナップ 位置づけ
Claude 5 世代 Fable 5 / Mythos 5、Sonnet 5 最新世代
Claude 4.x 世代 Opus 4.8 / 4.7 / 4.6、Sonnet 4.6、Haiku 4.5 現役の主力

💡 ch1-l2 で学んだ Opus / Sonnet / Haiku は のスタイルから取られた名前でした。 新ティアの Fable (寓話)Mythos (神話) は「物語」の形式。詩から物語へ——スケールの拡大を感じさせる命名です。

Fable 5 とは何か (What is Claude Fable 5)

Claude Fable 5 は、一般提供されているモデルの中で最も知能が高い Claude です。

「Opus より上」という初めての位置づけ

これまで Claude の世界では「最強 = Opus」でした。Fable 5 は、その Opus を能力面で上回る初めての上位ティア です。

🎯 使い分けの鉄則は変わりません: 普段は Sonnet、高度な仕事は Opus。 Fable 5 は「Opus でも足りない最難関」のための切り札 です。料金も Opus の 2 倍なので、「最新だから」と常用するのではなく、価値が価格に見合うタスクに投入しましょう。

Mythos 5 とは何か — Fable 5 との違い

Claude Mythos 5 (claude-mythos-5) は、Fable 5 と同一の基盤モデル (the same underlying model) です。 知能・料金・API の仕様はほぼ同じ。では何が違うのでしょうか?

Claude Fable 5 Claude Mythos 5
提供範囲 一般提供 (通常の API から利用可) 承認された組織のみ
安全対策 デュアルユース能力への 追加の安全対策あり 追加対策 なし
提供経路 通常の Claude API Project Glasswing 経由
モデル ID claude-fable-5 claude-mythos-5

キーワードは「デュアルユース (dual-use)」

デュアルユース能力とは、有益にも有害にも使える知識・技術のことです。 たとえば高度な 生物学サイバーセキュリティ の知識は、研究や防御に役立つ一方で、悪用のリスクも伴います。

💡 ch1-l4 で学んだ AI Safety の実践例です。「能力が上がるほど、提供の仕方に段階を設ける」——最前線モデルの安全運用の現在形と言えます。 詳細は公式発表 https://www.anthropic.com/news/claude-fable-5-mythos-5 を参照してください。

API から見た Fable 5 — 4.x 世代との違い

Fable 5 は Messages API の作法が少し変わります。第 3〜4 章の予習を兼ねて、代表的な違いを押さえておきましょう。

1. 思考 (Thinking) が常時オン

Extended Thinking (→ ch4-l3) は 4.x 世代ではオン/オフを選べましたが、Fable 5 は常に考えるモデル です。

# Fable 5 では thinking パラメータ自体を書かない (常時オン)
response = client.messages.create(
    model="claude-fable-5",
    max_tokens=16000,
    output_config={"effort": "high"},   # 思考の深さは effort で調整
    messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
)

2. 安全クラシファイアと refusal

危険領域 (生物・サイバー) と判定されたリクエストは、HTTP 200 のまま stop_reason: "refusal" で停止します。 正当な作業 (セキュリティツール開発など) でも稀に誤判定されるため、拒否されたら自動で Opus 4.8 に切り替える fallbacks パラメータを併用するのが推奨パターンです。

3. その他の主な違い

項目 Fable 5 の仕様
temperature / top_p / top_k 廃止 (指定すると 400。Opus 4.7 以降と同じ流れ)
Assistant プリフィル 不可 (構造化出力 output_config.format を使う)
データ保持 30 日間のデータ保持が必須 (ゼロデータ保持設定の組織では利用不可)
応答時間 難タスクでは 1 リクエスト数分〜十数分 が普通 (ストリーミング前提の設計を)
プロンプトの流儀 手順を細かく指示するより、ゴールと制約を渡して任せる 方が高品質

⚠️ 旧世代向けに細かく書き込んだプロンプトをそのまま持ち込むと、かえって品質が下がることがあります。移行時は「指示を減らす」方向で A/B 比較しましょう。

モデル別の特徴 — どれが何向きか (Which Model for What)

ここからは現行モデルの「個性」を見ていきます。キーワードは エージェント = ツールを使いながら多段階のタスクを自律的に進める使い方 (第5章で学ぶ Claude Code が代表例) です。まずはざっくり比較から。

観点 Fable 5 Mythos 5 Opus 4.8 Sonnet 5 Haiku 4.5
難問の深い推論
長時間の自律エージェント
日常コーディングのコスパ
応答速度 △ (数分単位も)
コスト効率
デュアルユース研究 (攻撃的セキュリティ・高度バイオ) ✗ 拒否される ◎ (要承認)

💡 「セキュリティ向きのモデルはどれ?」の答えは用途で分かれます。 脆弱性のコードレビューやセキュアコーディング支援といった 日常のセキュリティ実務 → Opus 4.8 / Sonnet 5 で問題なし。 攻撃手法の解析など 研究レベルのデュアルユース領域 → Fable 5 は安全クラシファイアが拒否するため、承認を得て Mythos 5 を使うのが正規ルートです。

🏛️ Fable 5 — 長期戦の自律エージェントと最高難度の推論

🌌 Mythos 5 — デュアルユース研究の正規ルート (承認組織限定)

🦅 Opus 4.8 — 自律コーディングとナレッジワークの主力

⚖️ Sonnet 5 — 日常のコーディング & エージェントのコスパ本命

⚡ Haiku 4.5 — 速度とコストの最終兵器

現行ラインナップまとめ

モデル ID 位置づけ 入力 / 出力 ($ per 1M tok)
Claude Fable 5 claude-fable-5 一般提供の最高知能 (Mythos クラス) $10 / $50
Claude Mythos 5 claude-mythos-5 同一モデル・承認組織限定 $10 / $50
Claude Opus 4.8 claude-opus-4-8 高性能の主力 $5 / $25
Claude Sonnet 5 claude-sonnet-5 バランス型の本命 $3 / $15
Claude Haiku 4.5 claude-haiku-4-5 最速・最安 $1 / $5

⚠️ 料金・提供状況は変動します。最新情報は必ず公式ドキュメント https://platform.claude.com/docs で確認してください。

まとめ

▶ Playground で考察する — 出し分け戦略の意味
あなたは AI ガバナンスの解説者です。「同一の AI モデルを、一般向けには追加の安全対策付きで提供し、審査済み組織には対策なしで提供する」という出し分け戦略について、(1) この方式の利点を 3 つ、(2) 運用上の難しさを 2 つ、初心者にも分かる言葉で説明してください。

演習問題

演習 1: モデル選定コンサルになる

Playground で Claude を「モデル選定コンサルタント」にして、5 つのシナリオに最適なモデルを提案させてください。

観察ポイント: - 「とりあえず最強の Fable 5」に流れず、コストと難易度のバランスで選べているか - Mythos 5 を一般企業に提案していないか (承認組織限定であることを踏まえているか) - 自分ならどう選ぶかと比べて、判断基準の違いを言語化してみましょう

スタータープロンプト:
次の 5 つのシナリオそれぞれに最適な Claude モデルを 1 つ選び、理由を 1〜2 文で説明してください。

1. EC サイトのレビュー 10 万件を「肯定/否定/中立」に分類したい
2. 社内チャットボットで日常の問い合わせに答えたい
3. 大規模コードベースのリファクタリング設計を任せたい
4. 未解決の数学的な難問に数時間単位で自律的に取り組ませたい
5. 大学のバイオセキュリティ研究室が、防御研究のために安全フィルタなしの最高性能モデルを使いたい
ヒントを見る

シナリオ 5 が引っかけです。「安全フィルタなしの最高性能」= Mythos 5 ですが、利用には Project Glasswing の承認が必要 — その条件に触れられているかがポイント。

サンプル解答を見る

理想的な回答の骨子:

  1. Haiku 4.5 — 大量分類はコスト最優先。最安モデルで十分
  2. Sonnet 5 (または Haiku 4.5) — 日常問い合わせはバランス型で
  3. Opus 4.8 — アーキテクチャ判断を含む高度な作業。まだ Fable 5 でなくてよい
  4. Fable 5 — 長時間の自律的な最高難度推論はまさに Mythos クラスの出番
  5. Mythos 5 — ただし Project Glasswing での組織審査・承認が前提条件

理解度チェック

  1. Claude Fable 5 と Claude Mythos 5 の関係として正しいものは?
    1. Mythos 5 は Fable 5 の軽量版である
    2. 同一の基盤モデルで、安全対策の有無と提供範囲が異なる
    3. Fable 5 は API 専用、Mythos 5 は claude.ai 専用である
    4. Mythos 5 は Fable 5 の旧名である
  2. Claude Mythos 5 を利用できるのは?
    1. Max プラン加入者なら誰でも
    2. API キーを持つ全開発者
    3. Project Glasswing で承認された組織のみ
    4. 教育機関のみ
  3. Fable 5 が属する「Mythos クラス」のモデル階層上の位置づけは?
    1. Haiku と Sonnet の間
    2. Sonnet と Opus の間
    3. Opus よりも上位
    4. Opus と同格の別ブランド
  4. Fable 5 の API 呼び出しで 400 エラーになる指定は?
    1. max_tokens を 16000 に設定する
    2. thinking={"type": "disabled"} で思考をオフにする
    3. ストリーミングを有効にする
    4. output_config={"effort": "high"} を指定する
  5. Fable 5 の「追加の安全対策」が主に対象とする領域は?
    1. 政治・宗教に関する話題全般
    2. 研究レベルの生物学と大半のサイバーセキュリティ (デュアルユース能力)
    3. 個人情報を含むすべての入力
    4. 他社 AI モデルとの比較質問
解答と解説を見る
  1. B — 両者は同一の基盤モデルです。Fable 5 はデュアルユース能力への追加安全対策付きで一般提供、Mythos 5 は追加対策なしで承認組織のみに提供されます。
  2. C — Mythos 5 は Project Glasswing を通じて、審査・承認された組織だけに提供されます。一般提供版は Fable 5 です。
  3. C — Mythos クラスは従来最強だった Opus のさらに上に新設されたティアです。「最強 = Opus」の時代が終わった点が Claude 5 世代の大きな変化です。
  4. B — Fable 5 は思考が常時オンのモデルで、thinking の無効化や budget_tokens 指定は 400 エラーになります。思考の深さは effort パラメータで調整します。
  5. B — 有益にも有害にも使えるデュアルユース能力 (高度な生物学・サイバーセキュリティ) が対象で、安全クラシファイアが該当リクエストを refusal で停止します。