09-04. ケース 4: 個人ナレッジベース運用
シチュエーション
過去の調査メモ・議事録・ブログ草稿・読書メモ・コードスニペットが 散在 している。 「あの時調べたあれ、何だっけ?」が頻発し、毎回再調査して 同じ結論に至る。
Before (Claude Code を使わない場合)
- ファイル名検索 → grep → ヒットしない → 諦めて再調査
- メモアプリの検索は単語一致のみで、文脈 が拾えない
- 結果: 同じ作業を 月に何度も繰り返す = ナレッジが資産にならない
After (Claude Code を使う場合)
~/notes/ にメモを集約 + CLAUDE.md で「ここはあなたの個人ナレッジベース」と宣言
↓
Claude に「先月調べた X について教えて」と聞く
↓
Claude が横断検索 → 関連メモを引用 → 要約回答
→ ナレッジが横断検索可能な「自分専用 RAG」 になる。
必要な道具立て
| 機能 | 何のために |
|---|---|
~/notes/CLAUDE.md |
このフォルダの構造・命名規約・「あなたの仕事」を宣言 |
| Skill: notes-search | 検索結果に必ず出典(ファイル名:行番号)を付ける |
| (任意) Filesystem MCP | より広範囲のディレクトリ横断 |
~/notes/CLAUDE.md 例
# 個人ナレッジベース
このフォルダはユーザーが過去に調べたこと・読んだこと・書いたメモを蓄積する場所です。
あなたの仕事は **このフォルダ全体を横断検索する個人 RAG エージェント** として振る舞うこと。
## ディレクトリ構成
- `tech/` — 技術調査メモ (言語・ライブラリ・パターン)
- `meeting/` — 会議議事録 (YYYYMMDD-<会議名>.md)
- `reading/` — 読書メモ (本・論文・ブログ)
- `journal/` — 日次の作業メモ
- `archive/` — 古い・参照頻度が低いもの (検索対象だが優先度低)
## 命名規約
- メモは Markdown
- 先頭に YAML frontmatter (date, tags, source)
- ファイル名は kebab-case で意味が分かる名前
## あなたの振る舞い
1. 質問が来たら、まず Glob/Grep で関連ファイルを探す
2. 関連ファイルを Read して内容を確認
3. **回答には必ず引用元を `[file:line]` 形式で明記**
4. 古い情報(archive/ 配下、または日付が 6 か月前)は「古い情報注意」を添える
5. 関連する未整理の情報があれば「これも気になりませんか?」と提案
Skill .claude/skills/notes-search/SKILL.md
---
name: notes-search
description: 個人ナレッジベース (~/notes/) を横断検索して質問に答える時に使う
---
# 検索手順
1. **キーワード抽出**: 質問から検索すべきキーワードを 2〜3 個抽出
2. **段階的検索**:
- まず `Grep` で該当ファイルを発見
- ヒットしない場合は類義語で再検索
- 一切ヒットしなければ「該当メモなし」を素直に返す
3. **読み込み**: ヒットしたファイルを優先順 (新しい順、tech > meeting > reading) で 3〜5 個 Read
4. **回答**:
- 結論を 3 行以内で先に提示
- 根拠を `[ファイル名:行番号]` で明記
- 矛盾する情報があれば両方提示
- 「古い情報の可能性」「未確認情報」を明示
5. **発見の記録**: 質問+回答+出典を `~/notes/journal/<YYYY-MM-DD>.md` に追記
ワークフロー (例)
$ cd ~
$ claude
> 先月調べた MCP の認証周りの話を要約して
Claude:
Step 1: keyword = "MCP", "認証"
Step 2: Grep
> Grep で ~/notes/ 内の "MCP" → 8 ファイル
> その中で "認証" を含む → 2 ファイル
Step 3: Read
> tech/2026-04-mcp-auth.md (Read)
> meeting/20260415-tech-meetup.md (Read)
Step 4: 回答
[tech/2026-04-mcp-auth.md:12-45] によると、MCP の認証は ...
[meeting/20260415-tech-meetup.md:78] で議論された通り、社内導入時の課題は ...
→ 結論: 1) ... 2) ... 3) ...
Step 5: journal/2026-05-12.md に質問と回答を追記
注意点・限界
- メモが汚いと検索精度が落ちる → 蓄積過程で命名・タグ付けを意識する習慣がつく(=副次効果)
- 個人情報・機密情報の取り扱い: API 経由で送られることを忘れない。会社の機密は別フォルダで分けて、
~/notes-personal/のみ使用するなど - 古い情報の混入: 6 か月以上更新がないファイルは
archive/に移動するルールを習慣化 - コスト: 1 質問あたり Haiku 4.5 で $0.001〜$0.01(横断検索しても安い)
応用
- 論文サーベイ: 読んだ論文のメモを
~/notes/papers/に集約 → 「Transformer 系の最近の論文で attention の改良案を比較して」 - コードスニペット集:
~/notes/snippets/に過去書いたコードを置く → 「Python で multipart upload するスニペットあった?」 - 趣味のナレッジ: 料理レシピ、ガジェットレビュー、旅行情報なんでも
このケース後にできるようになること
- ナレッジが資産 になる感覚 — 書いたメモが将来の自分を助ける
- 「Claude に聞ける状態」を意識してメモを書く習慣
- 第5章 RAG の「自分専用版 を低コストで実現」した感
関連
- 第5章 RAG (
05_RAG/) — このケースは「お手軽 RAG」とも言える - 08-02 CLAUDE.md —
~/notes/CLAUDE.mdの書き方 - 08-03 Skills — notes-search Skill の作り方