粗視化分子動力学シミュレーションによる有機半導体薄膜形成手法の比較研究:蒸着法と凝集法の熱的安定性評価
有機半導体薄膜のガラス状態における構造・熱的特性は、その形成プロセスに強く依存する。本研究では、LAMMPS分子動力学シミュレーションを用いて、蒸着(Physical Vapor Deposition: PVD)法と凝集(バルク急冷)法により形成された有機半導体薄膜の密度、ポテンシャルエネルギー(PE)、ガラス転移温度(Tg)を系統的に比較した。7ビーズ粗視化モデル(T-T-C-C-C-T-T)を用いた100分子系の直接比較に加え、蒸着法では基板温度・蒸着速度・基板相互作用・成膜過程の4パラメータ、凝集法では冷却速度・圧縮圧力・π-π相互作用強度・主鎖剛性・アニーリングの5パラメータについて系統的なパラメトリック研究を実施した。

主要な結果
- 蒸着法は凝集法に対して中間温度域で3-6%高い密度を維持し、Tgは約38%向上した(1.8 vs 1.3)
- 蒸着法の最適条件:$T_{dep}$ ~ 0.5-0.7、$V_{dep}$ ~ 3-5、$\varepsilon_{wall}$ ~ 1.5-2.5
- 凝集法ではアニーリングが最も効果的な改善策(急冷比+12%密度向上)
- 高圧処理によるHDA(High-Density Amorphous)状態の形成を確認
- 分子設計指針:強いπ-π相互作用($\varepsilon_{CC}$ >= 3.0)と極端な主鎖剛性(非常に柔軟または非常に剛直)が有利