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第2章 · プロンプトエンジニアリング

良いプロンプトの基本原則

Principles of Good Prompts · 約 12 分

重要キーワード

English日本語説明
Prompt Engineering プロンプト工学 LLM に望ましい応答をさせるための入力設計技術
Zero-shot ゼロショット 例を示さずに直接タスクを依頼する
Few-shot フューショット 数件の入出力例を見せてからタスクを与える
Token トークン LLM の処理単位。長いほどコスト・レイテンシが増える

良いプロンプトの基本原則

Prompt Engineering (プロンプト工学) とは、 LLM に望ましい応答をさせるための入力テキストを設計する技術です。 コードを書くようにプロンプトも 設計・テスト・改善 していきます。

5 つの原則

  1. 明確さ (Clarity): 曖昧さを排除し、具体的に指示する。
  2. 文脈 (Context): タスクの背景・対象読者・出力形式を伝える。
  3. 構造化 (Structure): 役割・指示・入力・出力を分けて記述する。
  4. 例示 (Examples): 良い出力例を見せる (Few-shot)。
  5. 段階分解 (Decomposition): 複雑なタスクは小さなステップに分ける。

悪い例 vs 良い例

❌ 悪い例:

「文章を要約して」

✅ 良い例:

「次の議事録を、エンジニア向けに 3 つの bullet point で 100 字以内にまとめてください。 議事録: ...」

良い例には 対象読者, 形式, 長さ, 対象データ が明示されています。

Be the Manager

Anthropic 公式ガイドの言葉に "Treat Claude like a brilliant new employee who has amnesia" があります。 - 優秀だが社内事情を知らない新人 だと思って指示する。 - 推測させるより、必要な情報を 先に明示 する。 - 結果が悪ければ「指示が足りなかった可能性」をまず疑う。

Token (トークン) とコスト感覚

LLM はテキストを token という単位で処理します (英語で約 1 単語、日本語で約 1 文字 ≒ 1 トークン)。 プロンプトが長いと コスト・レイテンシ が増えます。冗長な説明は避けましょう。

プロンプトの 5 部構造 (テンプレ)

[1] 役割 / 人格 (system 推奨)
[2] タスクの説明
[3] 入力データ (XML タグで囲む)
[4] 制約・出力形式
[5] 例 (Few-shot, 必要なら)

実際にやってみましょう。次のプロンプトは「役割」「形式」「制約」が明確なため、出力が安定します。

▶ 構造化されたプロンプトを試す
次の機能リリースを 100 字以内・日本語・絵文字なしで Twitter (X) 投稿用に書いてください。 機能: マルチユーザー対応、ダークモード追加、CSV エクスポート機能

何を最初に伝えるかが鍵

最初の数百トークン は LLM の応答に最も強く影響します。重要なルールは 冒頭に書く のが鉄則。 逆に「重要」と何度も繰り返すと、ノイズが増えるだけです。

演習問題

演習 1: 曖昧プロンプトを改善する

次の 悪いプロンプト を、5 原則に沿って改善してください。

「Pythonの本おすすめ書いて」

改善のヒント: - 対象読者は? - 何冊?ジャンル? - 出力形式は? - 制約は? (発売年・初心者向け、など)

スタータープロンプト:
[ここに改善後のプロンプトを書いてください]

例:
あなたは技術書評家です。プログラミング歴 3 年の中級エンジニア向けに、「設計力を鍛える Python 本」を 5 冊おすすめしてください。
各書籍について、タイトル / 著者 / 推す理由 (50 字) / 想定読者を Markdown 表形式で示してください。日本語で書かれた書籍に限定。
ヒントを見る

良いプロンプトのチェックリスト: ① 役割 ② 対象読者 ③ 形式 ④ 件数や長さの制約 ⑤ 出力例 (任意)。これらが揃っていますか?

演習 2: プロンプトの A/B 比較

悪いプロンプト改善版 を Playground で実行し、応答を比較してください。

比較ポイント: 長さ・構造・実用性・トークン消費。

スタータープロンプト:
Pythonの本おすすめ書いて
ヒントを見る

悪いプロンプトでも Claude はそれなりに頑張ってくれますが、目的に合った応答にはなりません。明確さの差が一目瞭然になるはずです。

理解度チェック

  1. プロンプトエンジニアリングで最も避けるべきは?
    1. 明確な指示
    2. 曖昧な指示
    3. 出力フォーマット指定
    4. 例示
  2. Claude を扱う際の比喩として公式に推奨されているのは?
    1. Brilliant new employee with amnesia
    2. Wise old wizard
    3. Lazy intern
    4. Search engine
  3. Few-shot prompting とは?
    1. 短いプロンプトを書くこと
    2. 出力例をいくつか見せること
    3. 5 回までしか試行しないこと
    4. 弾を 5 発使うこと
  4. プロンプトで最も影響力が強いのはどの位置?
    1. 末尾
    2. 中間
    3. 冒頭
    4. ランダム
解答と解説を見る
  1. B — 曖昧さは LLM が誤解する最大の原因です。
  2. A — *Brilliant new employee with amnesia* (記憶喪失の優秀な新人) という比喩が公式ガイドにあります。
  3. B — Few-shot は数件の入出力例を示してパターンを学ばせる手法です。
  4. C — 冒頭の指示が最も強く効きます。重要なルールは先頭に書きましょう。